自宅を持っている方は、家族帯同の海外赴任時に空き家になってしまいます。空き家のままにしておくと、家は傷むし、泥棒なども心配です。むしろ、海外赴任の間だけ自宅を他人に貸して、収入を得られれば一石二鳥と考える人は多いはずです。
しかし、一度他人に貸してしまうと、帰任した際に借主が住んでいると追い出すわけにもいかず、結局自宅に戻れないことがあります。筆者の友人は、帰任時に借主が住んでいるため、自宅の近くにアパートを借りることになりました。
筆者自身も海外赴任時に、自宅を貸し出そうとして不動産業者に相談しました。しかし、筆者の場合は、赴任期間が流動的であったため、貸し出すのは諦めました。
この記事を読むメリット ・「リロケーション(定期借家契約)」であれば、海外赴任者も安心して家を貸すことができます。 ・家を貸すまでの具体的な手順と代表的なリロケーション会社(不動産業者など)がわかります。 ・海外赴任を契機として、大きな財産を築けるかもしれません。
結論としては、自宅のある海外赴任者で、赴任期間が決まっている方は、リロケーションを検討するといいでしょうか。その際、リロケーションを請け負うリロケーション業者(不動産業者等)の選定が重要です。
リロケーション(定期借家契約)はどのような契約なのか?
「リロケーション(定期借家契約)」とは、賃貸借契約の一種で、特定の期間(定期)限定で物件を借りる契約です。転勤や海外赴任などある一定期間だけ家を空ける際に、留守宅を賃貸に出し家賃収入を得る賃貸方法です。一般的な賃貸契約(普通借家契約)とは異なり、借主・貸主ともに期間満了前に解約することができません。
リロケーション | 一般的な賃貸契約 |
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期間満了で終了となります (双方が合意すれば、更新も可能) | 借主が希望すれば、更新となる(原則、貸主は拒否できない) |
リロケーションは、借地借家法に基づいた仕組みです。2000年3月に施行された「定期借家権」により、一定期間経過後に賃貸契約を終了することが法的に可能となり、リロケーションの仕組みができました。
リロケーションのメリット・デメリット
リロケーションのメリットは以下の通りです。
- 何はさておき、家賃収入が得られます。
- 家は住んでいないと、どんどん傷んでいきますが、空き家に比べれば、家の痛みを低減できます。
- 防犯対策になります。
- 契約期間が満了すれば、借主は留守宅から出ていきます。
一方で、リロケーションのデメリットは以下の通りです。
- 借主にとっては期間が決まっていて、更新ができないという不利な条件であるため、借主が見つかりにくいです。また、普通の賃貸契約に比べ、賃料が1~3割程度安くなることが多いです。
- 住宅ローン残債がある場合、銀行から許可を得る必要があります。
- 貸借期間を決めるのがポイントになりますが、これが難しいです。我が家では海外赴任期間が流動的だったため、断念しました。
上記のデメリットを書きましたが、リロケーションしなければ、家は傷み、泥棒の心配もあります。多少賃料が相場より安くなろうが、少しでも収入になるのであれば、リロケーションをやらない手はないです。
リロケーションの契約方式
リロケーションの管理方法は「転貸借方式」と「代理委託方式」の2つに大別されます。
- 転貸借方式は、リロケーション会社(不動産業者等)が貸主から留守宅を借り上げてから賃借人に「転貸借」するため、貸主の契約相手はリロケーション会社となります。リロケーション会社は、貸主の代理ではなく、入居者との賃貸借契約の当事者になるため、留守中の管理を一任できます。
- 代理委託方式は、自宅の管理をリロケーション会社に「委託」する方法。賃貸借契約の当事者は、貸主と入居者である借主(あなた)です。リロケーション会社に管理の義務はあるものの、あくまで貸主の「代理」にすぎません。
リロケーションの締結手順
リロケーション(定期借家契約)で家を貸す際は、賃貸借契約の締結など専門的な知識が必要な場面があることや、入居者とのトラブル防止の観点から、リロケーション業者(不動産業者等)に管理を委託するのが一般的です。
リロケーション業者との契約にあたっての注意点は、以下の通りです。リロケーション業者に頼む際は、契約内容や料金、管理サービスなどをきちんと確認し、トラブルを未然に防ぐようにしましょう。
- リロケーション業者(不動産業者等)の選定:信頼できるリロケーション業者を選びましょう。リロケーション業者には、実績や口コミ、所属する団体などを確認し、適切な業者を選ぶことが大切です。
- 契約書の確認:契約書の内容をよく確認しましょう。契約期間、家賃、敷金・礼金、管理費用、解約条件などが明確になっているかを確認し、不明点や不備があれば確認を求めましょう。
- 料金の確認:リロケーション業者によって、契約時の費用や管理費用の徴収方法、仲介手数料などが異なることがあります。
- 入居者の選定:リロケーション業者が入居者の選定を行う場合、選定基準や手順を確認しましょう。リロケーション業者によっては、入居者を選ぶための審査や確認を行っている場合があります。
- 管理サービスの利用:リロケーション業者によっては、物件管理サービスを提供している場合があります。管理サービスを利用することで、定期的な清掃や修繕、トラブル対応などを行ってくれるため、貸主の負担を軽減することができます。
リロケーション業者を選定するコツ
リロケーション(定期借家契約)の制度は、2000年3月1日に施行された比較的新しい制度です。そのため、リロケーション事業を専門に扱っている会社が、まだまだ少ないのが現状です。以下の視点で、リロケーション業者を探してみてください。
- 実績のチェック ノウハウを持っているリロケーション業者を見極めるには、今までの「管理戸数」を聞いてみるのがひとつの手です。
- リロケーションの契約方式 リロケーションは「管理委託方式」と「転貸借方式」の2つに大別されます。しかし、たとえ同じ方式だとしても、手数料や管理の範囲、保証される賃料などはリロケーション会社によって異なります。方式だけを比較するのではなく、複数社の費用やサポート体制を比較し、自分にあったリロケーション会社を選ぶようにしましょう。
リロケーション業者としては、以下が有名ですが、詳細は皆さん自身で調べてください。
- 株式会社リロケーション・インターナショナル 日本で初めてリロケーションサービスを提供した会社です。管理戸数は約10万戸です。
- 東急住宅リース株式会社 東急不動産ホールディンググループの賃貸住宅会社です。管理戸数は約11万戸です。
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