海外赴任になった方で、家族を帯同する場合、お子さんの学校は最も気になるところですよね。現地にはどのような学校があるのか、満足な授業が受けられるのか、心配はキリがないと思います。筆者はベトナム赴任時に、家族を帯同し、子供を日本人学校に通わせていました。また、これまで20か国以上で仕事をしてきた中で、さまざまなケースを見てきました。ここでは、赴任時の学校選びで不安を抱えている方へ、海外の小/中学校の教育事情や選び方を紹介していきます。
この記事を読むメリット ・海外での教育事情を知ることができ、これまで抱えてきた漠然とした不安が解消されます。 ・ご自身で調べることができるようになり、学校選びで失敗するリスクが低減できます。
結論から言えば、現地にある学校は3パターンで、お勧めは「日本人学校」と「インターナショナル・スクール」で、「現地校」は欧米なら可能ですが、それ以外では無理です。
海外での小/中学校の種類
海外で日本人が通える学校は、以下の3択になります。それぞれの特徴を書いていきます。
- 日本人学校
- インターナショナル・スクール
- 現地校
日本人学校の特徴
日本人学校は、日本の学校教育法に基づいて設置された私立学校の一種です。先生も日本人で日本語で授業が行われます。また、日本の教育制度に基づいたカリキュラムで授業が行われます。ただし、英語や現地語の授業、現地の文化を知るための授業、現地校との交流会など、多少の独自性はあります。
世界中で日本人学校は94校あり、最も多いのが中国で15 校もあります。アジア地域には41校あり、特に東南アジアの国々は、日本人学校が充実しています。世界で最も児童生徒が多い日本人学校は、バンコク日本人学校で、コロナ前には約3,000人が在籍していたと聞きます。他にはシンガポール日本人学校も2,000 人以上が通っていました。
日本人学校のリストは、文部科学省ホームページに掲載されているので、こちらからアクセスしてください。「認定した在外教育施設一覧」に日本人学校のリストがあります。
授業料などの費用
日本人学校は、公立ではなく私立の学校です。インターナショナル・スクールほどではないですが、費用はそれなりにかかります。国や地域によっても変動がありますが、スクールバスの費用など諸々込みで、年間100万円弱ぐらいで考えておくと、良いと思います。
メリット
- 日本での受験に対応できます。日本人学校では、日本の学校教育法に基づいた教育が行われています。そのため、日本の中学校や高校に進学する場合、教育内容が大きく異なることがなく、スムーズな進学が可能となります。
- 海外にいても日本語が主要言語となるため、日本語力を維持することができます。また、母語である日本語での学習により、多言語での授業に比べ、学習効果が高いです。
デメリット
- 日本人学校に通うと、せっかく海外にいるのに、現地の言語や多様な文化に触れる機会が少なくなります。
インターナショナル・スクールの特徴
インターナショナル・スクールとは、世界中からの生徒を受け入れる私立学校のことです。インターナショナル・スクールでは、通常、英語を主要言語として、現地のカリキュラムに加え、国際バカロレア(IB)プログラムや、アメリカのAP(Advanced Placement)プログラムなど、国際的に認められた教育プログラムが採用されていることが多いです。
東南アジアの国々には比較的多くのインターナショナル・スクールがありますが、希望者が多く、すぐに入学できずに待機しなければならない学校もあります。さらに入試がある学校もあり、待機すれば必ず入学できるわけではありません。
授業料などの費用
国や地域、学校にもよりますが、学費が非常に高額で、年間100万円以上します。日本円で200万円を超えるようなインターナショナル・スクールもあります。
メリット
- 英語で授業が行われるため、先生も生徒も英語で話します。当然ながら英語が上手くなりますし、発音もネイティブ並みになります。これはすごく大きなメリットです。
- 異文化に触れながら、コミュニケーション能力や異なる文化への理解力を身につけることができます。また、世界中から生徒が集まっているため、グローバルな人脈を広げることもできます。
デメリット
- 日本語や日本の文化に触れる機会が少なくなってしまいます。いずれ日本に帰国することを考えると、それぞれの家庭で意識的に、日本語及び日本文化に関するフォローをすることが必要です。。
現地校の特徴
言葉そのまま、現地の学校です。条件が整えば、赴任先の現地校に入学させることができます。現地校では、それぞれの国の言語による教育が行われます。言語が未習の場合、家庭教師の支援等を受けながら言語習得に努める必要があります。海外の小学校は、国によって教育システムが異なるため、学び方やカリキュラムにも違いがあります。ドイツでは小学校5年生相当から進路が分かれ、英国の小学校では、英語、算数、科学、社会科などの基礎科目だけでなく、フランス語などの科目も取り入れています。
授業料などの費用
現地校でかかる費用ですが、当然ながら国や地域によって異なります。また公立校と私立校で、費用に大きな差が出ます。一般的に言えるのは、欧米の私立小学校に通わせる場合の費用は、日本の私立小学校の費用よりも高い傾向にあります。アメリカの一部地域では、私立小学校の年間授業料が2万ドル(約260万円)以上になる場合もあります。一方、公立小学校の場合は、学費が無料もしくは安価であることが多いです。
メリット・デメリット
現地校に関しては、国や地域、公立・私立などによって、状況が全く違うので、単純にメリット・デメリットを書くことができません。ただし重要なことは、欧米以外で現地校に通わせるのは、著しく困難です。日本語や英語でもなく、現地語で授業を受けるなんて、通常ありえません。現地校が選択肢として上がってくるケースは、アメリカやイギリスの地方に赴任となり、日本人学校やインターナショナル・スクールがない場合だけだと思います。
まとめ
結論として、繰り返しになりますが、お勧めは「日本人学校」と「インターナショナル・スクール」です。「現地校」は欧米なら可能ですが、それ以外の地域では無理です。
「日本人学校」と「インターナショナル・スクール」のどちらが良いかは、ご家庭での教育方針や会社からの補助など金銭面をもとに検討することになると思います。また、実際に通うのは、お子さんです。「インターナショナル・スクール」で、言葉をしゃべれず、つらい思いをさせるのもかわいそうです。筆者の子供は、一時期「インターナショナル・スクール(小学校)」に通っていましたが、金銭面のこともあり「日本人学校」に変えました。子供は「日本人学校」でよかったと話していました。
本記事では、海外の小中学校の概要を述べました。赴任先での具体的な情報については、ネットで検索すれば、すぐに見つかると思います。なお、「インターナショナル・スクール」を調べるには、英語で検索する必要があります。お子さんの将来に係る重要なことなので、しっかり情報を集めて検討してください。
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